今まで紹介してきた本は900冊以上。
ジャンル問わず気の向くまま読書しています。

読む筋トレ

読む筋トレ (扶桑社新書)

本書は"本を上手に読むためのトレーニングを指南する本"だと思い込んで手に取りましたが、実際には"筋トレを指南する本"であることに読み始めて気付きました。

中古の新書をまとめて購入する際に内容を確認せず背表紙のタイトルだけを見て決めることがあるため、今回のような(勝手な)勘違いをすることがあります。

本書の著者はボディデザイナーの森俊憲氏です。

"ボディデザイン"と聞いてピンを来る人は少ないと思いますが、簡潔に説明すると、減量を中心とした引き算のダイエットではなく、自分の理想とする肉体を目指して足し算のアプローチを提唱する著者の造語です。

本書によればダイエットは「挫折ビジネス」というジャンルに含まれ、何度も挫折しては挑戦を繰り返す人の多い"ニーズのなくならないビジネス"だそうです。

経験の無い人にとって定期的な運動や食事制限は少なからず苦痛を伴うものですが、それをストイックな精神だけで乗り切るのは間違いであると著者は指摘しています。

それよりも自己実現のために取り組むべきであり、また安易な手段に頼って手に入れたものに人は価値を見出すことができないという観点から、本書の大部分を具体的なトレーニング方法ではなく、"カラダを動かす前にココロを動かせ!"に代表されるように、トレーニングを継続するためにモチベーションを高めて維持するための方法に割いています。

本書の後半に最小限の努力で最大限の効果を得るためのワークアウトが紹介されていますが、本格的な器具を使ったものではなく、自重、もしくはダンベルといった自宅でも簡単に実践できるメニューで構成されています。

これは著者自身がサラリーマン時代に狭い社員寮でトレーニングを継続した経験、そして本格的なスポーツクラブに入会して通う事を大きなハードルと感じる人が多い中で、会社努めで忙しい人にとっては合理的、かつ効率的なトレーニング方法だといえます。

私自身についていえば定期的に運動する習慣があるため、本書によって特段啓発されたと感じる事はありませんでしたが、これからトレーニングを始めようと考えている人にとっては、いきなりスポーツジムに通い始めるよりも、まずは本書に書かれているように明確な目標を定めて継続できるモチベーションを得ることが大切だという点は共感できます。

少なくとも実際にアスリートが実践しているトレーニング方法が書かれている本を手に取るよりも、まずは本書のように初心者に向けて書かれたものから読み始めるのが良いように思えます。