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沖縄学―ウチナーンチュ丸裸

沖縄学―ウチナーンチュ丸裸 (新潮文庫)

大阪生まれの沖縄二世であり、作家・大学講師として活躍する仲村清司氏がエッセー風にウチナーンチュ(沖縄県人)の特徴や風土を紹介した1冊です。

以前ブログでも紹介した著者の「ほんとうは怖い沖縄 」はとても興味深い内容であり、強く印象に残っています。

そんな著者が紹介する沖縄本であれば間違いないという思いで本書を手に取りました。

結論から書くと、今回も期待を裏切らない内容でした。

私自身は雪国の出身であり、上京してから方言や食文化、細かい部分での生活様式の違いなど、その違いにしばしば気付かされた経験があります。

さらに関西や九州出身者との出会いを通じて、その違いをより鮮明に感じました。

しかし沖縄県人から見れば、沖縄県以外の日本の各地に住む人びとはいずれも"ヤマトンチュ"であり、彼らは同じ日本に住みながらも別民族であるような感覚を持っている印象があります。

もちろん古代には関東にまでアイヌ人が住んでいたことから、日本が単一民族国家でないことは明らかなのですが、本州より遠く隔てられている分、沖縄にはより独自の文化が保存・継承され続けていることを改めて感じさせられます。

"テーゲー主義"や"なんぎー"、"ウチナータイム"など、南国ならではのおおらかな文化、そして先祖含めた一族血縁の結束の固さ、もあい(模合)に代表される相互扶助の精神など、昔の日本に存在した文化を継承し続けている面もあり、まさしく沖縄は"チャンプルー精神"によって形成されています。

私の周りを見渡すと、やはりと言うべきか「沖縄=レジャー」といったイメージを持っている人が殆どです。

一方で、本書を片手に沖縄独自の文化を楽しむといった方法もあるのではないでしょうか。

私自身は泡盛が好きなので、お酒を通じて"ウチナーンチュ"を理解するというのも悪く無いと思います。

しかし表層的に方言や音楽をだけをなぞって"沖縄を理解した気"になるのは危険であり、やはり本当に沖縄を知るためには、その歴史を学ぶことも重要です。

著者の仲村氏は沖縄の歴史や、その歴史が抱える問題にも焦点を当てて精力的に執筆に取り組んでおり、次回はそうした本を紹介する予定です。